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精油の安全性


 

精油の安全性

 日本国内でアロマセラピーが普及して日が浅いため、十分な情報がないまま精油の効力と危険性が誇張されています。
   @ 精油は強力な複数の成分の混合体で、精神的・肉体的に影響します。
   A 現在の日本では、精油は雑貨とみなされ販売規制などがありません。
   B 精油を使用する対象者は一般大衆であるため、専門的知識がありません。

    〜精油の研究機関〜
       □芳香物質研究所(RIFM)1966年設立:独立研究機関。
                                 1000以上の論文を発表し、うち200種は植物性に関する研究。
       □国際芳香協会(IFRA):様々な香料の安全性を追求。
                       使用推奨基準値を定めている。

精油の用量


  
アロマセラピーでの安全性や危険性に最も影響しているのが、精油の用量です。
   危険とされる精油であっても少量であれば危険性は少なく、一方安全な精油も大量に摂取すると急性毒性の危険があります。
   1回の投与量が非常に大量の場合、身体に有害な結果(肝臓・腎臓障害、頭痛、吐気)を引き起こす場合もあります。
             ex)ジュニパー:長期使用で腎臓障害
   おおよその使用量の目安は以下のとおりです。
           * フルボディートリートメントの最多回数は24h/回
           * 吸収される精油の量は使用した精油の4〜25%

 状態がひどい時
 7〜10days/回 
 状態が落ち着いているとき 
 30 days/回

                           精油の安全性

精油の使用頻度

 大きく左右します。
 繰り返し使用することで肝臓・腎臓への負担が増え、慢性毒性
を引き起こすこともあります。
 セラピストはクライアントへのトリートメントを繰り返すことで、慢性毒性を引き起こしやすい身体になるので予防の必要があります。
 トリートメント前後に手洗いをする、時間を空ける、喚起をするなど。

    * 1度の使用では症状として現れないが、徐々に身体に有害な結果を引き起こすこと。

 ■LD50値とは
    Lethal Dose 50%(半数の致死量)の略称です。
    急性毒性試験用に伝統的に採用されてきた方式で、動物実験によって用いられます。
    動物に、試験する物質を異なった量ずつ投与し、動物の50%を死にいたらしめる用量をさします。
    体重1kg当たりの試験物質のcで表します。
    動物実験で得られたデータであるため、人の場合を推測できるが絶対的ではありません。

 ■最大許容量(MTD)
    顕著な障害を引き起こさない程度の最大投与量で、LD50値の手前の値ともいえます。


皮膚への刺激

 皮膚の脂質の溶解性から精油のような親油性物質は容易に吸収されるため、組織も透過して20〜60分以内に呼気中に検出されます。
 経皮吸収は、働きかけが強い経口投与と異なり、皮膚への作用に個人差があります。
 しかし、精油中の成分によって大きく異なります。

POINT

  注意点 備考
  精油の希釈濃度
  精油を塗布する部位 :皮膚の厚さなどによっても異なる  
  投与方式
  使用する精油の成分
  クライアントの状態 皮膚の状態と代謝
  使用頻度 精油の体内残留


 (1) 皮膚刺激

     皮膚に対して何らかの第1次刺激が接触した際に生じます。
     また、反応は早く、刺激の強さは濃度に依存しています。
     塗布後の主な症状は、発疹、ひりひりとした痛み、軽い麻痺などがあります。

 (2) 皮膚感作

     皮膚アレルギー反応の一種で第1次刺激の段階では皮膚刺激と似た症状が生じます。
     再度接触すると激しい炎症反応が生じることが特徴です。
     1次刺激での症状は、皮膚刺激に比べると緩慢です。
     再度接触で生じる症状を、交叉感作とよび、自分が何らかのアレルギー体質であると自覚している方に多く生じます。
     主な症状は発疹、赤み、軽い火ぶくれを生じ、感作物質に慢性的に接触すると接触皮膚炎となります。
     これは、アレルギー性じんましんや過敏性じんましんと呼ばれています。

           □シトラール(アルデヒド類)・d-リモネン(モノテルペン類)との共存
                    d-リモネンの感作物質がシトラールと共存すると感作作用が弱まる。
                    d-リモネンはレモングラス、メリッサ、バーベナなどに含有され、同時にシトラールもまた大量に 含有してい
                    ます。


                                精油の安全性

 (3) 光感作

     一部の化学物質が皮膚に塗布された後、紫外線を浴びることで過剰な反応を生じます。
     主な症状は、黒い色素(メラニン色素)沈着、赤み、ひりひり感、火傷、水泡などです。
     最も強い光感作性物質はラクトン類のベルガプテンです。
     この成分は、圧搾法抽出の柑橘系に多く含まれています。
     これは、ベルガプテンの粒子が重いためです。
     光毒性物質の含有量と皮膚の色に影響します。

精油名  ベルガプテンの含有率(%) 
 ベルガモット 0.3〜0.4
 ライム(圧搾法) 0.1〜0.3
 レモン(圧搾法) 0.15〜0.25
 ビターオレンジ(圧搾法) 0.069〜0.073
 グレープフルーツ(圧搾法)  0.012〜0.013

                              *グレープフルーツ(圧搾法)、スイートオレンジ(圧搾法)は
                               ベルガプテンは少ないが、ゼロではないので注意すること。

          〜光感作の防止法〜
            @ 精油を皮膚に塗布しても、紫外線に当たらなければ危険性はありません。
            A 塗布後、時間の経過とともに危険性は減少します。

                  ex)ベルガモット:
                        塗布後1時間は反応作用が増大し、2時間でピークを迎え、その後8時間かけて減少します。
                        低濃度で使用する。
                        0.5%以下の場合、光感作は出にくいです。

          〜光発癌性〜
             光感作の強い精油を長期にわたり使用した場合、光発癌性を持つ可能性があります。
             症状は皮膚に腫瘍を形成しますが、紫外線に当たらなければ発癌性は示しません。

                                       発がん性のあるとされている成分
成分名 精油名と含有量
 β-アサロン  カラモス(50〜80%)
 サフロール  サッサフラス、カンファー、スターアニス、シナモン 
 メチルオイゲノール   スネークルート(30〜45%)
 エストラゴール*  タラゴン(70〜80%)、バジル(20〜30%)
                                                  *別名:メチルカビコール


                             精油の安全性


  ■パッチテスト

     試験物質(未希釈で行なう場合と植物油やアルコールで希釈して行なう場合があります)を少量つけたパッチを貼って行ないます。
     刺激試験では試験物質を24時間から8時間適用します。
     また試験物質が揮発性の場合はカットバンなどで密閉する場合もあります。

       方法:
         試験する精油を使用濃度の倍の濃度にして、前腕部内側の一部に塗布します。
         この状態のまま48時間放置します。
         また、カットバンの内側に精油を2滴つけ、上記と同じく放置します。
         感作試験の場合はこれらを2回以上行ないます。

◇神経毒性
   ケトン類が原因となる場合が多いとされています。
   成分はα-アサロン、β-アサロン(カラモスに含まれています)、ツヨン(ワームウッドやセージに含まれています)があります。
   これら成分を含む精油は、妊娠中は避けましょう。

◇肝毒性
   アルデヒド類、フェノール類が原因だとされています。
   特にチモール(フェンネルに含まれています)があげられます。


【思わしくない反応が生じた場合の処置方法】

   体調によって起こったり、起こらなかったりしますが、注意が必要です。

 @ 無香料の石鹸を使用し、ぬるま湯でそっと洗い流します。
 A 皮膚を30分程度、空気にさらします。ただし、刺激になるため日光には当てないようにしましょう。
 B 水分(牛乳、ヨーグルトなどの脂肪分を含むものが効果的です)を多めにとり、代謝を促進させます。また、患部に直接塗布してもよい
   でしょう。
 C キャリアオイルなどで患部の精油を薄めます。
 D 症状がひどい場合は、精油を持参して病院へ行きます。

◇発癌性
   発癌性を示す精油はいくつかありますが、その含有量によって大きく異なります。
   IRFAはそういった危険性を避けるために様々な資料と推奨基準値を設けています。あくまでも、動物実験によるデータです。
   主に肝臓ガン誘発物質とされています。しかし、これらが人にも同じ結果をもたらすかどうかは証明されていません。

          □トランスアネトール(フェノール類)とシトラール(アルデヒド類)
               発癌性があることは確認されていませんが、エストロゲン様の特性があることは証明されています。
               エストロゲン活性は本物よりはるかに弱いのですが、ガン細胞の中にはエストロゲン依存型(乳癌、子宮
               内膜癌)のものもあり、体内のエストロゲンレベルが高まると癌細胞を増殖させる可能性があるためです。

成分名 精油名
 アネトール   スターアニス、アニス、フェンネル 
 シトラール  レモングラス、メリッサ、バーベナ

          □d-リモネン
               毒性はありませんがd-リモネン(不安定なモノテルペン類)の酸化によって形成される化学物質類が腫瘍を発症させ
               るのではないかと考えられています。

癌患者に対してのトリートメント

   トリートメントによりリンパ液の流れが刺激促進され、癌細胞が転移する危険があると考えられてきましたが臨床的証拠はありません。
   トリートメントがソフトなものであれば通常の身体の動きによって生じる筋肉の収縮刺激と同程度ですが、リンパ節の上部やそれに近い
   部分に対して、深部にまで及ぶトリートメントや患者に吐気、出血、高熱がある場合は避けるべきです。

  ■ターミナルケア(終末期医療)

     患者が痛みを訴えた場合鎮痛剤等の薬物療法のアプローチが行われます。
     痛みの原因は肉体的なものだけでなく精神的な面を多く含んでいます。
     アロマセラピーは精油の薬理効果だけでなく、香りの持つ印象や植物の生命力の働きを有していると言われています。
     また、直接肌に触れるという触覚刺激(タッチセラピー)が患者の孤独感や不安を癒すことにつながります。



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