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chemistry of essential oil


 

精油の化学


最初に・・・

アロマセラピーで使用する精油は天然香料(自然の植物から抽出)です。
自然=安全というわけではなく、自然のものであっても毒性があり、危険な場合があるということです。。そのため、精油の毒性を知ることは、セラピストにとって必要不可欠!というわけです。
また、毒性だけでなく効果的な成分を知る上でも化学組成が重要です。それぞれの精油に含まれる成分を知ることは、個々の特性・特徴・働き・薬理作用を知ることにつながります。
さらに個々精油の香りの違いにおいても、化学が関わっているのです。


精油の組成

精油を構成する成分は有機化合物です。
有機化合物とは、炭素を含む一酸化炭素二酸化炭素炭酸イオン炭酸水素イオン以外の化合物をさします。


精油を構成する代表的な元素類

  C(炭素)・・・
    有機化合物を作る元素で、原子量等の計算の基準となっています。
    炭素原子の数が増えると揮発性が低くなります。
    芳香性がよい炭素原子の数は8〜15個だといわれています。

  O(酸素)・・・
    空気中の1/5を占める気体元素で、色・味・ニオイがありません。
    酸素原子は水の分子(H2O)を形成することから、水にも溶けやすい性質があります。

  H(水素)・・・
    水素原子は1番軽い元素で、酸素原子同様に色・味・ニオイともにありません。


                   
         炭素原子・酸素原子・水素原子の主要な3つが

                       どのように構成するのか?
                       何個あるのか?  など

         によって、さまざまな特徴を作り出しているということです。
         そして、その違いによっていくつかのグループにカテゴライズされます。下の表が、それを示したものです。

酸素化合物

アルコール類

アルデヒド類
エステル類
ケトン類
フェノール類
オキシド類
ペロキシド類
ラクトン類

炭化水素テルペン類 酸類フラン類
エーテル類

           *これがすべてではなく、この他にも酸化物類・硫黄化合物類・窒素化合物類が一部の精油に含まれます。

   精油と他のオイルとの違いの一つが、揮発性です。精油揮発速度は高く、油染みになりません。
   ただし、柑橘系の精油やアブソリュートは精油の中に色素を含んでいるため、色素沈着の恐れがあります。



精油の化学組成

 精油は揮発性のある脂溶性の芳香分子で構成され、一つの種類のエッセンシャルオイルには200種類以上の分子が含まれています。
 これらの成分が、その精油の香りや効用・安全性などを決定しているということです。
 有機化合物は、その分子構造によりテルペン類・アルコール類・アルデヒド類・ケトン類・フェノール類・エステル類・オキシド類などにカテゴライズされています(上記表参照)。


炭化水素テルペン類

 炭素と水素から構成されているグループで、「炭化水素」と呼ばれています。
 精油の中では最も広く存在する精油成分で、一部を除いて毒性が低く、酸化しやすい性質を持っています。
 特に、柑橘系には約90%が含まれています。
 炭化水素テルペン類の約5%が感作物質です。

 炭化水素テルペン類はイソプレン単位という単位によって、さらにいくつかにカテゴライズされます。

                  イソプレン単位とは?
                       → 炭素(C)原子5個で構成されています。

 イソプレン単位の数が2個、つまり炭素が10個の場合はモノテルペン類です。
 3個の場合、つまり炭素が15個の場合はセスキテルペン類です。

  1.モノテルペン (イソプレン単位が2個 C=10)
      非毒性ですがし、酸化が早いために長期保存によって皮膚刺激の原因になる場合があります。
      殺菌作用が強く、皮膚に刺激を与えることがあります。
      成分リモネンはほとんど柑橘類のエッセンシャルオイルに見出される殺菌効果を持つ成分で、ピネンは「森林浴の香り」と言われる成分です。

      働き: 免疫機能促進、抗ウイルス、殺菌消毒、鎮痛、抗菌、抗真菌、去痰、興奮
      成分:
リモネン レモン、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリンなど
α-ピネン ローズマリー、ジュニパー、フランキンセンス、サイプレスなど
カンフェン プチグレン、パイン、ジュニパーなど
ジテンペン ベルガモット、レモン、フェンネルなど

  2.セスキテルペン (イソプレン単位が3個 C=15)

      働き: 抗感染(比較的弱い)、免疫機能促進、緩和、抗炎症、降血圧(弱い)、鎮静、 鎮痙
      成分:

カジネン レモン、フランキンセンスなど
カリフォレン マージョラムなど
セドレン シダーウッド、ジュニパーなど
アズレン カモミールなど

  3.ジテルペン (イソプレン単位が4個 C=20)
      蒸留過程から抽出するには分子が大きいため、精油の中にはあまり存在しません。
      精油中に少量でも含まれている場合、その作用は大きいです。

      働き:ホルモン(エストロゲン)調節、去痰、抗真菌、抗ウイルス


アルコール類

 アルコール類はイソプレン単位に、官能基
*1の一つである水酸基(-OH)が置換したものです。
 つまり炭化水素の水素原子が水酸基(-OH)で置換されたということであり、多くの精油に含まれている成分です。
 水に溶けやすく、揮発性が高いのが特徴です。
 一般的にアルコール類は安全性が高く、肌に対しても穏やかに作用し、皮膚刺激の原因になりにくい成分です。
 炭化水素テルペン類同様、イソプレン単位の数によってカテゴライズされます。
       モノテルペンアルコール(モノテルペノール)・セスキテルペンアルコール(セスキテルペノール) など
 しかし、炭化水素テルペン類とは異なり、モノテルペンアルコールとセスキテルペンアルコールのアロマセラピーで用いる際の働きに大きな違いがないため、まとめてアルコール類と分類されることが多いようです。

    *1 原子団、複数の原子がつながってできている分子内の特定部分構造です。
        有機化合物の物理的あるいは化学的性質に密接に関係しているため、そのグループを大まかに特徴付けるものです。

  働き: 抗菌、殺菌、抗ウイルス、興奮、麻酔、血管拡張
  成分:
      ■モノテルペンを基礎としているもの
ゲラニオール ローズウッド、ラベンダーなど
シトロネロール  
リナロール  
l-メンソール ペパーミントなど
テルピネン-4-オール ティートゥリー、マージョラム、ラベンダーなど
                   *優れた殺菌消毒性、抗ウイルス性や全身の機能を活性化する働きがあります。

      ■セスキテルペンを基礎としているもの
サンタロール サンダルウッドなど
フサロール  
セスキテルペンアルコール  
                   *免疫を調整し、気分を高めてくれる働きである高揚作用があります。


アルデヒド類

 官能基、アルデヒド基(-CHO)を持つ化合物です。
 水溶性及び揮発性が高く、酸化しやすいことが特徴で、また第1級アルコールを酸化すると得られる成分です。
 アルデヒド類の成分は軽くフルーティーな香りがあり、レモン様の香りがする精油に多く含まれています。
 アルデヒド類の35%に皮膚刺激、25%に皮膚感作の成分がありますが、皮膚感作を示す成分は芳香族アルデヒド類です。
 精油に含まれるアルデヒド類の成分の多くは脂肪族アルデヒド類です。
 しかし、皮膚刺激があり、アレルギー反応を起こす場合があるため、肌に使用する際には注意が必要です。

  *テルペンアルデヒド類は刺激が少ないことから、脱テルペン精油(テルペン類を故意に取り除いたもの)はアロマセラピーには向きません。

 働き: 抗炎症、神経系の鎮静、殺菌消毒、抗感染、抗真菌、消化機能促進、抗ウイルス、高揚



ケトン類

 官能基、アルデヒド基(-CHO)の水素原子を炭化水素(-OH)置換した化合物のことです。
 第2級アルコールを酸化すると得られます。
 比較的安定した化学物であり、酸化しにくいことと分解されにくく、そのため体内で蓄積されやすい成分です。
 また、毒性を示すものが多いため中枢神経に対する刺激があると言われています。
 そのため、ケトン類を50%以上含む精油はアロマセラピーには向きません。
 もし使用する場合は、量と濃度に注意する必要がありますが、ケトン類全てに毒性があるわけではありません。


 働き: 瘢痕形成作用(細胞組織治癒特性)、粘液溶解
*1(脂肪分解、抗硬化特性)、神経系への刺激促進(うつ気分の時は分量に注意しましょう)、
      抗ウイルス(強い)、抗真菌、鎮静、通経作用、神経毒性

           *1 粘液の流動性を高める働き、脂肪の分解を助ける働き、血液を浄化してさらさらにしてくれる働きを持っています。

 成分:
カルボン ペパーミントなど
カンファー ローズマリーなど
メントン ペパーミントなど
プレゴン ペニーロイヤルなど
フェンコン フェンネル、ジャスミンなど
ツジョン ワームウッド、クラリセージなど
ジャスモン ジャスミンなど

エステル類

 アルデヒド類が酸化したもので、官能基-COCの結合(エステル結
)を持つ成分です。
 エステル類は有機酸(-COOHカルボキシル基を持つ化合物)とアルコールが反応して生成されます。
 精油中に広く存在し、ウィンターグリーンに含まれるサリチル酸メチル以外、危険性は低いです。
 果物(メロン、バナナなど)や植物(ジャスミン、キンモクセイなど)が成熟した時や花が満開になった時に、エステル類の生成レベルは高くなります。
 そのため、植物の収穫時期はたいへん重要となります。
 同じ植物から抽出されるエッセンシャルオイルでも、エステル類の含有率が高ければ香りが良く、香料の世界では高品質とされています。
 アルデヒド類よりも強くフルーティーな香りを放つことがよくあります。
 たいへん温和で安全性の高い成分で、子供やお年寄りにも使用出来ます。
 エステル類はラベンダーなどの鎮静作用のあるエッセンシャルオイルに多く含まれています。


 働き: 鎮静(強い)、鎮痙(初期段階において)、抗炎症
 成分:
ベンジルアセテート ベンゾイン
リナリルアセテート ラベンダー、クラリセージ、ネロリ、ベルガモットなど
メンチルアセテート ペパーミントなど
シトロネリルアセテート シトロネラ、ゼラニウムなど
ゲラニルアセテート シトロネラ、ラベンダーなど
                                           *アセテートは酢酸の意味。


フェノール類

 水酸基がベンゼン環に結合した分子構造です。
 大量使用及び長期使用により肝毒性や皮膚刺激性を表すこともあります。
 アロマセラピーで使用される精油には、フェノール類が大量に含まれているものはありません。
 フェノール類の50%に刺激性、30%に毒性、18%発癌性があると言われています。
 多くが精油中にエーテルとして存在しています。
 フェノールエーテル類は神経毒性(中枢神経系に刺激をもたらす)を示すことがあるため、短期間に低濃度で使用しましょう。
 皮膚刺激があるため、皮膚や粘膜を刺激して赤くなったり、ただれたりすることがあるためお風呂での使用やトリートメントには向きません。

 働き: 殺菌消毒(非常に強い)、抗うつ、神経系への刺激(特に中枢神経)、免疫機能促進、抗ウイルス作用
 成分:
オイゲノール ブラックペッパー、クローブ、バジルなど
カルバクロール オレガノ、タイムなど
チモール タイムなど
サフロール サッサフラスなど


オキシド(酸化物)類

 -COC-の結合を持ちます。
 空気や水によって酸化しやすい特徴があり、不安定で変質しやすい成分です。
 しかし、オキシド類を含む精油はわずかです。
 粘膜刺激が強いため、皮膚の弱い方や子供には注意が必要です。
 気管支や耳鼻咽喉の諸症状改善に、また循環器系を刺激し、代謝を促進する働きがあります。

 働き:刺激促進、抗ウイルス、抗アレルギー、去痰


ラクトン類

 柑橘類の果皮から抽出する精油は圧搾法によって抽出されることが多いため、柑橘系精油には多く含まれています。
 しかし、水蒸留気蒸留によって抽出された精油には存在しません。
 分子が大きいため、揮発性が低く、つまり香りが残りやすいことが特徴です。
 光感作、皮膚感作の原因となるため、使用後8時間以上は日光に当たらないようにしましょう。
 紫外線と化学反応を起こすことによって、しみやそばかすなどの色素沈着の原因となります。
 また、アレルギー反応を起こすこともあります。
 ラクトン類が主成分の場合は注意が必要です。

 働き: 去痰(粘液溶解)、抗ウイルス、抗アレルギー
 成分:
ベルガプテン ベルガモットなど
クマリン  


エーテル類

 精油にはあまり存在しませんが、含んでいる場合は注意が必要な成分です。
 -O-の結合を持っています。
 酸素の影響を受けないため酸化しにくく安定していますが、遮光は必須です。

 働き: 鎮痙、鎮痛、抗ウイルス、充血除去、殺菌(強力)
 成分:
アネソール フェンネル、アニスシードなど
エストラゴール(メチルカビコール)*1 バジルなど
サフロール サッサフラスなど
                             *1 抽出時に化学反応が起こるため、ハーブと精油では成分が異なる。

ペロキシド類

 有毒物質の1つです。
 精油ではワームシードオイルに含まれているアスカリドールのみです。


酸類

 精油には比較的少ない成分で、揮発性は低いです。
 保存中にどんどん醗酵していき、変化も著しいため安全性は不明です。
 安息香酸や吉野酸は比較的安全だとされています。
 しかし、劇薬であるシアン化水素酸(青酸)も同じグループです。


フラン類
 一部の精油ガーリックオイルのジアリルジスルフィドに含まれている成分です。




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